大学職員にも様々な雇用形態が増えてきています。
総合職はかなり人気で、200倍にもなる超高倍率ですが、嘱託職員(有期職員・契約職員)という雇用形態もあります。
「総合職や正社員に将来なれるなら穴場なのでは?」
「ひとまず嘱託職員になるのはありなのかな?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、現役の早慶上MARCH職員が内情を徹底解説します!
結論:十分ありです。
メリット&デメリットをしっかり理解したうえで、ステップとして嘱託/有期/契約職員を挟んでから総合職(無期契約)を目指すのは十分ありだと思います。
そもそも嘱託/有期/契約職員とは?
有期雇用契約、つまり期間限定(3年が多い)で雇われる職員のことです。
一般企業でいう「契約社員」と同じだと考えてください。
「嘱託職員」、「有期職員」、「契約職員」など大学によって名前は様々ですが、多くの大学で近年採用が増えてきています。
メリット①:無期契約への転換チャンスがある
嘱託/有期/契約職員を勤めた人に、無期契約に転換できる選考のチャンスが与えられる大学が近年多くあります。
これは「パートタイム・有期雇用労働法」によって転換機会や情報の提供が義務付けられているためです。
しかも、大学によっても異なるものの、無期転換できるハードルや倍率は、ゼロから総合職に応募する場合に比べると圧倒的に低い場合が多いです。
ただし、大きな注意点があり、デメリットの項目で解説します。
メリット②:他大学の総合職への転職がしやすくなる
嘱託/有期/契約職員であっても、一度経験していると、他大学の総合職に応募したときに有利になる可能性が高いです。
理由の一つは、大学職員の仕事を詳しく知れるので、具体性のある志望動機や自己PRを書きやすくなることです。
二つ目の理由は、大学側から即戦力として評価されることです。
実際にたとえば東洋大学の中途採用(総合職)の募集要項では、以下のような記載があり、経験者が明確に優遇されています。

(出典:マイナビ転職)
私の感覚では、早慶上MARCHなどの大手私立大学でしっかり勤務した経験した経験があると、それなりに名のある他の私立大学に総合職として転職できる可能性は十分ある印象です。実際に周囲でも何人もいます。
ただし、知名度や人気のない大学の場合は、経歴としてプラスになる可能性は減ってしまうでしょう。嘱託/有期/契約職員になるのであれば、大学選びはより重要になってくることは覚えておきましょう。
デメリット①:非正規雇用になるリスク
嘱託/有期/契約職員は、いわゆる非正規雇用です。
大学業界に限った話ではありませんが、非正規雇用に一度なると、転職時に正規雇用になりづらいという調査結果などがあります。
参考 前職が非正社員だった離職者の<br /> 正社員への移行について
非正規雇用といっても、他にも派遣社員やアルバイトなど様々ありますので、一概には言えませんが、そのようなリスクがあることは知っておきましょう。
デメリット②:無期転換しても総合職よりも年収が低くなる
メリット①で解説した通り、無期契約に転換できる選考のチャンスが与えられる大学は多いです。
しかし、嘱託/有期/契約職員から転換した無期契約の職員というのは、いわゆる総合職とは別の雇用身分、というケースが多々あります。
大学によって呼び方は異なりますが、「スタッフ職」や「一般職」と呼ばれ、総合職と待遇などに差があります。
給料が低い
ざっくり感覚として、例えば40歳主任クラスで年収1,000万円もらっているような大手私立大学でも、「スタッフ職」や「一般職」は年収600万円くらいが上限だったりします。
この点がネックで、雇用契約満了時には他大学の総合職に応募する嘱託/有期/契約職員はそこそこの割合でいます。
「一般職」と言っても、よくイメージされるお茶くみや電話対応などの定型業務だけやるわけではなく、管理職を除けば総合職に近いレベルの仕事をします。
なのに総合職より給料がグッと下がるのは納得できない、という声も聞きます。
管理職にならない
「スタッフ職」や「一般職」は人事制度上、管理職になることがない、という大学がほとんどです。
また、管理職以外の役割でも制限があるケースがあり、重要業務のリーダーにはならない等の運用をしているところもあるようです。
ジョブローテーションがない
ジョブローテーションがなく、基本的にずっと同じ部署に所属して専門スキルを身に着けていく大学もあります。
もしくはジョブローテーションがあったとしても、一部の部署の範囲でしか異動しない制度になっているところもあります。
たとえば、「学生支援系」や「施設管理系」など部署のカテゴリーを設けて、その中でしか異動が発生しないようなケースです。
まとめ
メリット
- 無期契約への転換
- 他大学の総合職への転職がしやすくなる
デメリット
- 非正規雇用になることのリスク
- 無期転換しても総合職よりも年収が低くなる
嘱託/有期/契約職員には上記のようなメリット・デメリットがあることを見てきました。
これらを踏まえたうえで、「どうしても大学職員になりたい!」という人にとっては、ひとまず嘱託/有期/契約職員になってから総合職を目指すのもありだと私は考えています。
このあたりのキャリア戦略についてもご相談に乗っていますので、悩みをお持ちの方はお問合せからご連絡ください。